秋の遊びを考えると、落ち葉で何を作るか、どんな名前を教えるかと、活動の形から考えたくなります。でも、その前に、子どもは葉のどこを見ているのだろう。今回は、自然に触れる時間を、大人の説明で埋めてしまわないための関わりを考えてみます。
文部科学省の『幼稚園教育要領解説』では、自然に触れる場面について、子どもが心を動かされるところは必ずしも大人と同じではない、と説明されています。また、季節の変化への気付きは、その様子を完全に理解したり、言葉で表したりすることだけを指すのではないとされています。※
この説明から私が受け取るのは、知っている名前が増えることと、目の前のものに親しむことは、同じではないということです。名前を教えるのが悪いわけではありません。ただ、こちらが伝えたい知識だけで、その時間のよしあしを決めないでいたいと思います。
例えば、親子で葉を眺める場面なら、まずは子どもの視線や手の動きを見てみる。色に目が向いていれば「こっちは黄色いね」と添え、形を気にしていれば一緒に見比べる。これは関わり方の一例で、実際の園児との出来事ではありません。何色かを何度も尋ねたり、違いを答えさせたりしなくても、並んで見る時間はつくれます。
子どもから名前や理由を尋ねられたら、分かることは伝え、分からないことは図鑑などで一緒に調べてもよいと思います。見守ることを「大人は何も言わないこと」にしてしまうと、それもまた窮屈です。説明するか黙るかの二択ではなく、今、何に関心があるのかを手掛かりに関わりたいところです。
家庭で試すなら、遠出や作品づくりまで用意する必要はありません。安全な場所から木の葉の色を眺めるだけでも、ひとつの過ごし方になります。触る場合は大人が安全を確かめ、安全が分からない植物や実には触れず、口に入れないようにします。触りたくない子には無理に勧めず、見るだけにしても構いません。
何かを教えると、役に立てたようで大人も安心することがあります。その安心を急ぐあまり、子どもが気にしていた小さな違いを飛ばしてはいないだろうか。自然を学ぶ時間は、子どもの知識を増やすだけでなく、大人が自分の見方を少し緩める時間にもできるのだなあと思います。
※出典:文部科学省『幼稚園教育要領解説』(平成30年2月)、第2章第2節3 領域「環境」、185・187頁。

